こんにちは。発酵食大学のゆりやんです。
小豆島の発酵を巡る旅の最終話は、やはりヤマロク醤油さんで締めくくります。一度は訪れたい蔵の一つで、今回の旅の目的でもありました。念願が叶って本当に感無量です。
150年の時を醸す、小豆島「ヤマロク醤油」へ。菌たちと生きる“生きた蔵”の物語
今日は、発酵好きなら一度は訪れたい「聖地」とも言える場所、香川県・小豆島にあるヤマロク醤油さんを訪ねた時のお話を綴りたいと思います。

蔵に近づくにつれてふわりと漂ってくる、深く香ばしい醤油の香り。それだけで「あぁ、ここには菌たちが息づいているんだな」と、胸が高鳴ります。

100種類以上の菌が住まう「生きた蔵」
蔵はだれでも気軽に見学できるようになっています。さっそく「もろみ蔵」に足を運びました!

一歩足を踏み入れると、そこはまるでもう一つの生命体の内部のよう。壁や柱、そして大きな木桶の表面には、長年住み着いている「蔵付きの菌」たちがびっしりと白い粉(産膜酵母など)のように付着しています。

「ここは、僕たちが醤油を造っているんじゃなくて、菌たちが造ってくれるのを僕らがお手伝いしている場所なんです」
そんな風に語る5代目当主・山本康夫さんの言葉通り、ここでは100年以上も前から、酵母や乳酸菌たちが代々この蔵の味を守り続けているのです。
絶滅の危機を救う「木桶職人復活プロジェクト」
発酵好きとして外せないのが、ヤマロク醤油さんが使っている「木桶(きおけ)」のお話です。
現在、日本で流通している醤油のうち、昔ながらの木桶で造られているものは、わずか1%以下。さらに追い打ちをかけるように、巨大な木桶を作れる職人さんもいなくなろうとしていました。
「このままでは、日本の伝統的な発酵文化が消えてしまう」
そう危惧した5代目は、なんと自ら桶職人のもとへ修行に行き、「木桶職人復活プロジェクト」を立ち上げたのです!
今では自分たちで桶を作り、その技術を次の世代へ繋いでいます。
あの大きな桶の一つひとつが、実は何百年先を見据えた「未来へのバトン」なのだと思うと、醤油一滴の重みが変わってきますよね。

帰り際に、「新桶の蔵も見てみる?」を社長にお声がけいただき、見せていただきました。
木の香りと醤油の香りがあいまって、これはもう発酵オタクを癒してくれる天然のアロマです!
新桶づくりに投資し、また苦労が増えると苦笑する山本社長ですが、その表情からは希望の光が迸っていました。
歳月が醸す、究極の「しずく」
ヤマロク醤油さんの看板商品といえば、やっぱり「鶴醤(つるびしお)」。
通常の醤油は1〜2年で完成しますが、これは一度出来上がった生醤油に、再び麹を仕込んでさらに2〜3年熟成させる「再仕込み製法」で造られています。

トータルで4年近い歳月をかけ、木桶の中で菌たちがじっくりゆっくり醸したその味は、驚くほど濃厚でまろやか。
お刺身につけると、魚の旨みが何倍にも膨らみ、バニラアイスにかければキャラメルのようなコクに変わる……。まさに「発酵の魔法」をダイレクトに感じられる一品です。
最後に
ヤマロク醤油さんを訪れて感じたのは、発酵とは単なる調理法ではなく、「時間と命の積み重ね」だということ。150年前から続く菌たちの営みに感謝しながら、今夜も大切に醤油をいただきたいと思います。
発酵LOVEな皆さんも、ぜひ一度、小豆島の風と菌たちの呼吸を感じに行ってみてくださいね!
訪れた蔵 ヤマロク醤油
ヤマロク醤油株式会社
〒761-4411 香川県小豆郡小豆島町安田甲1607
TEL : 0879-82-0666
このブログを書いた人 発酵食大学のゆりやん
2013年に石川県の醸造メーカーの協力を得て発酵食大学を立ち上げました。企画会社である株式会社ウーマンスタイルの代表取締役でもあり、「石川県をキャンパスに見立てて発酵を学ぶなら石川へ行こう!」を合言葉に発酵のプラットフォームを目指してスタート。醸造メーカーと生活者をつなぐ取り組みになりたい!と発酵食大学を運営しています。今は金沢校・京都校・東京校でも講師を努めています。
52歳から始めたYouTube「発酵食大学」で、「簡単で美味しくてヘルシー」な料理を提案中







