今回は発酵食大学のお楽しみ、蔵見学の第3弾です。
金沢の伝統発酵食品「かぶら寿し」の製造元、四十萬谷本舗さんに伺いました。
明治8年創業の本店は、旧鶴来街道沿い、金沢市の伝統的建造物群保存地区にあり、昔ながらの趣を今に伝えています。
講義会場は、丹精な日本庭園を望むお座敷。
ものしり博士・四十万谷社長から、発酵や名物のかぶら寿し作りについてご教授いただきます。
テーブルの上には、試食のお漬物が!
漆器の器に映えて美しいですね☆
<試食メニュー>
- かぶら寿し
- 金沢ピクロス
- のといか野菜づめ+セロリ
- 山芋醤油漬け
- 古文書沢庵
スライドを見ながら、ユーモアあふれる四十万谷社長のお話が続きます。
同店のかぶら寿しは、石川産の百万石青首かぶらを使用。
やわらかい部分のみを使うため、1個のかぶらから約1個分のかぶら寿ししか作れないそう。
天然の寒ブリは塩漬けすると、ハムのような味わいに熟成が進むのだとか。
金沢伝統の高級贈答用だけあって、素材も味わいも超一級品です。
かぶら寿しを漬け込む際、毎回職人たちは「うまく働いてくれよ」と微生物に祈るそう。
ものづくりに対する真摯な姿勢が伝わってきますね!
同社で使用している糀は北陸で唯一の種麹専門店「石黒種麹店」のもの。
江戸時代から一子相伝で受け継がれる「こうじ蓋製法」による糀を実際に見せていただきました!
すべて手作業で丁寧に作られる糀はふわふわと白い花のよう。
この微生物の働きが、美味しいかぶら寿しを作り出すのですね♪
麹菌が蒸米のなかにの菌糸を伸ばしていくことを「破精込み(はぜこみ)」といいます。
いい糀は、この破精込み具合がよく、麹菌がしっかりと蒸米に食い込んでいます。
逆さまにしても落ちない糀のパワーに圧倒されます!
そして今度は会場を「オエの間」の間に移して、お待ちかねの糀漬け体験がスタート。
日本でただ一人のかぶら寿しマイスター、権野さんに指導していただきます。
美味しく仕上がる野菜の切り方まで、丁寧に教えて下さる権野さん。
野菜の繊維の方向を考えながら、指導どおりに切ります。
野菜を切ったら、いよいよ漬け込み。
糀床と野菜を交互に層にしていきます。
糀床は味見しながら塩を適宜足していけば、何年も持つのだそう(要冷蔵)!
混ぜる必要もないので、初心者でも簡単に管理できます。
漬け込む野菜は旬の野菜をお好みに応じて。
春なら、茹でたタケノコもおすすめとか。いろいろお好みで試してみたいですね。
漬け込んだ糀漬けは今晩から楽しめます。
早い!簡単!な糀漬けライフを楽しんでください。
講義後はかぶら寿しをはじめ、漬物商品が豊富に並ぶ店内で、思い思いにお買いものを楽しむ学生さんたち。
加賀の味噌やかぼちゃを使ったオリジナルジェラートもほおばって、すっかり老舗を満喫したみなさんでした♪
<本日の参加者VOICE>
- 改めて糀の良さを再確認できました。味わったお漬物も美味しく、家庭でも作ってみたくなりました。かぶら寿しはお正月くらいしか食べていませんでしたが、糀漬けを普段から食べたいと思いました。北陸の食事として誇らしい気持ちになりました。
- 普段から四十萬谷本舗さんのお漬物を家族でいただいているので、今日の漬物体験は貴重な体験でした。お漬物がより身近な存在になりました。
- 金沢の歴史を交えたお話がおもしろく、あっという間でした。糀の世界にワクワクしました。お漬物は塩分 を気にして、食べないことが多かったのですが、糀漬けは甘味もあり、興味がわき、とても身近になりました。たくさん方の力で今日まで継承されていると知っ て、ありがたい気持ちになりました。
- 毎日何気なく食べていた漬物ですが、歴史や発酵について学び、実際に作ることができて良かったです。とても勉強になりました。
- 材料の野菜作りまで手がけている、そのこだわりがすごい!伝統を守り続けていただきたいです。
- 社長さんの笑顔が素敵でした。伝統あるお店なのに気さくで、しかも仕事に対しては厳しく、お店を守っている姿勢がよく伝わってきました。