
こんにちは。発酵食大学 講師のゆりやんです。
今回は、お砂糖を使っていないのに驚くほど甘い、「発酵あんこ(小豆麹)」の作り方をご紹介します。

発酵あんことは、茹でた小豆と米麹、そして少しの塩だけで作る発酵スイーツのこと。
麹の酵素が小豆のデンプンを分解して糖に変えるため、砂糖不使用でもあんこのように甘く、「罪悪感のない腸活おやつ」として大人気です。
私もその美味しさにハマり、何度も仕込んでいます。
でも、いざ作るとなると炊飯器とヨーグルトメーカー、どっちで作るのが正解?
と迷うことはありませんか?
そこで今回は、甘酒作りなどで普段から両方を使いこなしている私が、「炊飯器」と「ヨーグルトメーカー」での作り比べ実験を行いました!
どっちがより甘く、美味しく仕上がるのか?
それぞれのメリット・デメリットや、失敗せずに甘さを最大限に引き出すコツを徹底レポートします。
レシピ監修・解説:発酵食大学 講師、発酵食・腸活エキスパート ゆりやん

発酵あんこの作り方
私が作る発酵あんこのポイントは「ゆであずき」を使うこと。

乾燥したあずきを茹でる手間が面倒なので、砂糖不使用のものをアマゾンで購入して使っています。
もちろん、自分で茹でて作ってもOKです。
発酵あんこを作るとき、普段は乾燥麹を使って作るのですが、炊飯器で作ると水分が蒸発して仕上がりが乾きすぎる問題が気になったので、今回は乾燥麹に霧吹きで水をかけて1時間置いて生麹のようにしたものを使ってみました。
発酵あんこの材料・作りやすい分量
- ゆであずき(砂糖不使用のもの) 250g
- 乾燥麹 100g
- 水 105ml(全体の3割)
- 塩 小さじ1/2(仕上げに加える)
炊飯器は容量が大きいので、分量は上記のヨーグルトメーカーの倍量で作りました。
炊飯器編での作り方
- 炊飯器の内釜(またはボウル)に、60度以下に冷ましたゆで小豆、米麹、塩、分量の水を入れ、よく混ぜ合わせます。
- 炊飯器にセットして「保温」ボタンを押します。

全体がしっとりなじむくらいの水分量が目安です。途中でパサつく場合は水を少し足してください。
ポイントは、炊飯器のフタを完全に閉めないことです。
フタを閉めると温度が上がりすぎる(70度以上になる)ことがあるため、フタを開けたままにし、釜の上に濡れ布巾をかけておきます。
ヨーグルトメーカーでの作り方
- 材料を混ぜ合わせるヨーグルトメーカーの専用容器に、ゆであずき、米麹、塩、水を入れ、清潔なスプーンでよく混ぜ合わせます。
- 容器を本体にセットし、フタをします。温度と時間を60度・6〜8時間に設定してスタートします。
麹の酵素が最も活発に働くのは60度前後です。ヨーグルトメーカーならこの温度帯をキープできるので、誰でも失敗なく作れます。

途中でかき混ぜる(重要!)発酵ムラを防ぐため、スタートから2〜3時間おきにフタを開けて、全体をよくかき混ぜてください。
外側と中心部の温度差をなくし、麹全体に熱を行き渡らせることで、甘みがグンと増します。

途中の状態を確認してみます。

温度計で中身の温度を測ってみると、ヨーグルトメーカーは56.3度。中心部は少し低いです。

炊飯器の温度を測ると、62.9度。
ヨーグルトメーカーより6度ほど高いです。
温度が高いので炊飯器のほうが甘く、糖化が進んでいます。

麹のふやけ具合も炊飯器のほうがやわらかい。
8時間後・・・
甘さを引き立たせるために、仕上げの塩を投入。


塩を入れることでぐっと甘くなります。
ヨーグルトメーカーのほうはちょっと水分量が多くてしっとりと、ゆるい感じになりました。

炊飯器のほうも少し柔らかめでしたが、一般的なあんこの固さに近く、甘さはヨーグルトメーカーより甘いです。

ぱっと見た感じ、見た目はそんなに差がないです。
両方ともちゃんと甘くなって美味しかったですよ!

実験の結論からすると、炊飯器で作るほうが甘く、水分量が少なく美味しかったです。
ヨーグルトメーカーの場合は63度くらいにするといいかもしれないです。
また、水分量も全体の2割(70ml)にするくらいがベストなのかな〜?と思いました。

発酵あんこのレシピ動画
詳しくはYouTubeの動画で解説していますので、ぜひご覧ください。
みなさんも温度や水の量を変更したり、いろんな方法試したりして自分好みの食感や甘さを見つけてくださいね。
発酵あんこ作りの疑問とコツ(Q&A)

今回の作り比べ実験を踏まえて、美味しく作るためのポイントやよくある質問をまとめました。
できがりが甘くありません。なぜですか?
保温中の温度低下が原因と考えられます。温度が50度を下回ると、酵素の働きが弱まり甘くなりません。特に冬場は温度が下がりやすいので、途中でかき混ぜて温度を確認し、低い場合は保温モードを再加熱するなどして温度を上げてください。ご自身であずきを茹でた場合は、混ぜる時の温度が高すぎた可能性があります。麹の酵素は60度前後で最も活発に働きますが、70度を超えると死滅(失活)してしまい、糖分を作れなくなります。茹でたあずきは必ず水を加え60度以下(指を入れてずっと触っていられる程度)まで冷ましてから麹を混ぜてください。逆に温度が低すぎても発酵が進まないので、保温中は60度程度をキープするのがコツです。
結局、炊飯器とヨーグルトメーカー、どっちがおすすめですか?
今回の実験では炊飯器の方が水分が飛び、甘みが凝縮されて濃厚な仕上がりになりました。炊飯器はフタを少し開けて保温するため、余分な水分が蒸発しやすく、ぽってりとしたあんこらしい固さと強い甘みが出ます。
- 炊飯器(濃厚派): 水分が飛んで甘みが凝縮されます。しっかりした甘さが欲しい方におすすめ。ただし温度が高くなりすぎないよう調整が必要です。
- ヨーグルトメーカー(しっとり派): 密閉して保温するため、水分が逃げずしっとり仕上がります。温度管理が完璧なので失敗のリスクは低いです。
好みの食感や甘さに合わせて使い分けてみてください。
少し酸味を感じます。食べても大丈夫ですか?
腐敗臭がなければ食べられますが、発酵温度が低かった可能性があります。温度が50度以下になると、乳酸菌などが活動しやすくなり、酸味が出ることがあります。ヨーグルトのような酸味であれば食べられますが、本来の甘さは弱くなってしまいます。明らかに嫌な臭いや味がする場合は、雑菌が繁殖している可能性があるため廃棄してください。
保存期間はどれくらいですか?
冷蔵で約1週間、冷凍で約1か月です。 砂糖を使っていないため、普通のあんこよりも日持ちしません。清潔な容器に入れて冷蔵庫で保存し、なるべく早めに食べきりましょう。 食べきれない分は、小分けにしてラップに包み、冷凍保存するのがおすすめです。自然解凍でそのまま美味しく食べられます。
乾燥麹と生麹、どちらが良いですか?
どちらでも美味しく作れます。生麹ではしっとりなめらかに仕上がります。乾燥麹は入手しやすく保存もききます。少し水分を吸うので、混ぜ合わせる際にかたいようなら茹で水を少し多めにして調整してください。
発酵あんこの作り方とおすすめアレンジレシピ
炊飯器で作る発酵あんこのレシピ
ヨーグルトメーカーで作る発酵あんこのレシピ
甘酒白玉で作る発酵あんこ乗せ

発酵あんこで作るあんまん
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発酵食・腸活エキスパートが教える!このレシピのワンポイント

記事の実験結果にもある通り、酵素の働きだけでなく水分の飛ばし具合が甘さの感じ方を大きく左右します。ヨーグルトメーカーで作る場合も、できがり後にフタを開けて少し混ぜながら冷ますことで余分な水分を飛ばすと、炊飯器で作ったときのような濃厚な甘みに近づきます。また、仕上げの塩(ひとつまみ)を入れることで、対比効果で甘さを際立たたせてくれます。
発酵あんこは単に砂糖不使用なだけではありません。小豆に含まれる豊富な食物繊維と、麹菌が作り出すオリゴ糖を同時に摂れる、まさに腸内細菌(善玉菌)のエサの宝庫です。市販のあんこは砂糖の量が気になりますが、これなら毎日スプーン1杯食べるだけで立派な腸活になります。朝のヨーグルトにトッピングして、乳酸菌と一緒に摂るシンバイオティクスな食べ方が特におすすめです!
失敗の多くは温度ムラが原因です。特に冬場や気温が低い日は、機器の設定温度を信じすぎず、2〜3時間に一度かき混ぜて全体を均一な温度(60℃前後)にする手間を惜しまないでください。このひと手間で、糖化の進み具合(=甘さ)が段違いに良くなりますよ。
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お家時間を活用して、発酵食についてより深く知識を得ることができます。
このレシピの作成者(考案・監修)

発酵食大学レシピ開発チーム
(発酵食エキスパート在籍)
レシピ制作において大切にしていること
2013年から発酵食品のレシピ制作に関わっている発酵食大学の講師やスタッフが、「簡単で美味しくて、ヘルシー」をモットーに制作しています。
スーパーで気軽に手に入る食材を使い、忙しくても誰でも手軽に作ることができるレシピを心がけているので、日々のご飯づくりに参考にしていただけたら嬉しいです。
食物繊維と発酵食品を毎日コツコツ取り入れて「毎日菌トレ!」を目指しましょう。
発酵食大学のレシピ本
『発酵食大学の旨うまレシピ』がKADOKAWAから出版されています。毎日の料理が面倒な人、時間がない人こそ作ってほしい発酵の力を生かした、ヘルシーなレシピを紹介。











