【3】命の危険も?!子どもの味覚障害が増えてます

●味覚を正しく感じられない子ども

人の味覚には「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「旨味」の5つの基本味があります。2014年、それを判断できない子どもが増えているのでは?という衝撃的な研究結果が報告され、話題になりました。5味のいずれかを認識できない子どもが約30%いたとの結果から、「ただ味音痴なだけじゃないの?」と 思う人も多いかもしれませんが、問題はそう単純ではありません。

人間は太古から、食べ物の味によって「安全」「危険」を判断してきました。「酸味」からは腐敗、「苦味」からは毒物を疑うことができます。つまり、味覚を感知できないのは、生命の危険にかかわる深刻な問題なのです。

●子どもたちの味覚が老化している?

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食べ物の味は、舌や上あご、喉の表面にある「味蕾(みらい)」で感じ取ることができます。赤ちゃんにはすでにこの細胞があり、最初は甘味や旨味を好 み、苦味を嫌うと言われています。年齢とともに味の好みに個人差ができ、複雑な味わいも感じられるようになっていきます。味覚が最も発達しているのは乳幼 児期、成人期など諸説ありますが、さまざまな食生活を経験した成人期説が有力のようです。

こうして発達した味覚も老年期に入ると着実に衰えていきます。研究結果の中には、老人の味蕾は乳幼児の30%になってしまうというデータもありま す。かつては味覚障害というと高齢者特有の症状だったのです。ではなぜ今、味覚が発達盛りの子どもに高齢者のような現象がおきているのでしょうか?
そうした子どもたちの食生活に顕著な傾向は、
・清涼飲料水をよく飲んでいる
・野菜の摂取量が少ない
・ファストフードが好き
というものでした。ここに浮かび上ってくるのは、味が濃い、食品添加物が多い、脂肪分が多いなど、偏った食生活に陥っている現代の子どもたちの姿です。

●「うま味」で味覚を育てよう

味覚障害の直接的な原因には、まず「亜鉛」が考えられます。亜鉛が不足すると、味覚の感知センサーが鈍ってしまうのです。食生活の偏りによる亜鉛の摂取不足、ファストフードや清涼飲料水に含まれる食品添加物が亜鉛の吸収を妨げるとも言われています。
また、味の濃い食品ばかり食べていると、薄味を感知する能力が低下するとの指摘もあります。味覚障害になった子どもはさらに濃い味を好むようになり、加工 品やインスタント食品ばかり食べる“負のスパイラル”が加速します。食品添加物や油分、糖分過剰の食生活は将来的に生活習慣病を引き起こしかねません。

子どもの未来の健康を守るために今必要なのは、食材の自然な味わいやさまざまな味覚を体験させて、本来の味覚をしっかり育てること。日本人の昔ながらの和食なら、野菜を中心に素材のそのものの味を楽しむことができます。

その引き立て役として活躍するのが「だし」や「発酵調味料」。これらは基本味のひとつ「うま味」をたっぷりと含み、薄味でもおいしさをしっかりと感 じる献立を作ることができます。さらにアミノ酸やミネラルなどの栄養も豊富。健康を引き寄せる「うま味」を上手に使えば、味覚センサーも衰え知らずです よ!

子どもの味覚が固まってしまう前、できれば離乳食段階から「うま味」を基本とした和食中心のメニューを味わわせることが大事ですが、思い立ったら今からでも取り入れていきましょう。

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