【9】本当に美味しい甘酒の作り方

甘酒には、2種類あるのはご存知ですか?
酒粕で作った「酒粕甘酒」と、米麹で作った「米麹甘酒(甘麹)」の2つです。

(詳しくは【2】酒粕で作る甘酒は本物の甘酒じゃない?

発酵食大学がおすすめしているのは、後者の「米麹甘酒」。
ここでは米麹甘酒を「甘酒」として、その作り方を紹介していきます。

甘酒は砂糖を使わないのに甘くなる理由

甘酒の材料はお米と麹と水。
それぞれ甘くはないこの材料が、どうして甘い甘酒になるのでしょうか? 

それには麹の働きが大きく関わっています。
麹にはアミラーゼとプロテアーゼという酵素が含まれており、甘酒が作られる過程でこの2つの酵素が活発に働きます。

アミラーゼはお米のでんぷんをブドウ糖に分解し、プロテアーゼはお米に含まれるタンパク質をアミノ酸に分解。こうして作り出されたブドウ糖には甘味が、アミノ酸には旨味があり、甘酒のコクのある甘味となっているのです。
いわば、お米を栄養源とする麹の酵素の営みによって、甘酒の天然の美味しい甘味が生み出されているわけです。

特に、でんぷんをブドウ糖に分解するアミラーゼが最も活発に働く温度帯は55度~60度。
麹の酵素は70度以上になると失活してしまう事が多いため、甘酒作りの温度管理には注意が必要です。
甘くて美味しい甘酒を作るには、より多くのブドウ糖が分解されるよう最適温度を保ち、酵素が働くようにすることがポイントです。

ご飯と米麹で自家製甘酒の作り方

最近ではスーパーなどで様々なメーカーの甘酒を見かけるようになりました。
手作りすれば自分で材料を選べる点で安心感がありますし、麹や水の割合を調整して自分好みの甘さやとろみ具合にアレンジできるのも魅力。
ヨーグルトメーカーや炊飯器があれば簡単に作れるので、気軽に挑戦してみましょう。

基本の甘酒の材料

  • 米麹 100g
  • 炊いたご飯 1合(350g)
  • 水(乾燥麹の場合) 175ml
  • 水(生麹の場合) 135ml

※ヨーグルトメーカーで作る場合の分量です。炊飯器で作る場合は、全て倍量にしてください。

あま〜い甘酒の材料

  • 米麹 200g
  • 炊いたご飯 1合分(350g)
  • 水(乾燥麹の場合) 300ml
  • 水(生麹の場合) 230ml

※上記の「基本の甘酒」よりも米麹と水の割合が多く、甘くてとろとろの仕上がりになります。

甘みやなめらかさはお好みですので、割合を変えながら自分好みの分量を見つけてみましょう。

ヨーグルトメーカーを使って作る場合

 

  1. ヨーグルトメーカーの内容器に温かいご飯と水を入れ、粗熱を取りながら60度くらいまで冷ます。
  2. 米麹を加えよくかき混ぜたら、フタを閉めてヨーグルトメーカー本体にセットする。
  3. 温度を58〜60度、タイマーを8〜10時間(好みで加減)にセットし、スタート。
  4. 時間になって好みの甘さになっていれば完成。保存容器に移し、冷めてから冷蔵または冷凍保存する。

炊飯器を使って作る場合(その1)

  1. 炊飯器の内釜に温かいご飯に水を入れて混ぜる。
  2. 温度が60〜65度くらいに下がったら、米麹を加えてよく混ぜる。
  3. 炊飯器を保温にセットする。
  4. フタを開けたままふきんをかけ、10~12時間保温する。途中数回かき混ぜる。

炊飯器で作る場合(その2)

  1. 耐熱のジッパー付き袋にご飯と水を入れて混ぜ、米麹を加えてさらによく混ぜる。
  2. 炊飯器の内釜に入れて、60度程度の湯をかぶるくらいまで入れ、フタをあけたまま8〜10時間保温する。途中数回取り出してかき混ぜる。

※こちらの作り方で「基本の甘酒の材料」で作る場合、ヨーグルトメーカーでの分量で良いです。倍量で作るとジッパー付き袋に入りきらない場合があります。

    甘酒の保存方法と保存期間

    清潔な保存容器やジッパー付き袋に入れて、冷蔵庫ならば1週間、冷凍庫なら2〜3か月程度です。
    手作り甘酒は酵素活性があるので、冷蔵保存するうちに少しずつ味わいが変化して酸味が出てくることもあります。
    冷凍すれば、長時間できたての風味が楽しめますし、シャーベット状になり完全には固まらないので、使う量だけスプーンなどですくうことができます。
    ドリンクよりも調味料として使う場合は冷凍保存がおすすめです。

    甘酒の粒が気になる場合

    甘酒を手作りすると、ご飯の粒が残ります。この粒が気になる場合はミキサーにかけるとなめらかになります。
    お砂糖代わりに料理やお菓子作りに使う際も、粒がないほうが滑らかに仕上がるので使いやすいでしょう。

    手作り甘酒の成功のカギは温度管理

    美味しい甘酒を作るにはとにかく温度管理が重要。
    保温温度は55度~60度をキープしましょう。

    炊飯器での失敗は、温度が高くなりすぎて酵素が失活してしまうことが多いようです。
    70度以上になって酵素が働かなくなり、でんぷん質がブドウ糖に分解されなくなると、甘酒が甘くないおかゆのような状態になってしまいます。

    そんな失敗を防ぐためにも、ヨーグルトメーカーで作るほうが温度を一定に保つことができ、タイマー機能もあるのでおすすめ。
    ヨーグルトはもちろん、塩麹や醤油麹など麹調味料作りにも幅広く活用できます。

    自動温度調節機能のない炊飯器で作る場合は、こまめに温度計で確認しながら作りましょう。

    また、炊飯器でもヨーグルトメーカーでも、途中数時間おきにかき混ぜてあげる方がだんぜん甘くなります。
    発酵時間は、8時間程度ならさっぱりとした甘さ、10時間を超えるとぐっと甘みとコクが増してきます。
    甘酒は材料の米や麹、発酵時間によってかなり味が変化するので、いろいろ試して自分好みのレシピを見つけてみましょう。
    市販の甘酒や手作りしている友人の甘酒と比べてみると、ますます手作りが楽しくなってきますよ!

    動画で見る甘酒の作り方

    発酵食を学んでライフスタイルを豊かに

    発酵食大学に通うことができない!そんなあなたの味方、オンラインで学べる「通信部」があります。
    大学と同等のカリキュラムをインターネットで学ぶことが可能。発酵食エキスパート3級を取得できます。
    将来、大学院の受講を検討されている方も、先に通信部を受講されることをおすすめしています。

    通信部