
発酵食大学 講師のゆりやんです。
今回は、トマトのうま味がギュッと凝縮した、万能発酵調味料、「トマト麹(トマト塩麹)」をご紹介します。
トマト麹とは、トマト缶(またはトマトジュース)と米麹、塩を混ぜて発酵させた調味料のこと。
トマトに含まれるうま味成分「グルタミン酸」と、麹の酵素が作り出す甘み・うま味が合わさることで、スープの素を使わなくても、驚くほど料理が美味しくなります。
「トマト麹、作り方は難しそう…」と思われるかもしれませんが、実は材料を混ぜて置いておくだけととっても簡単!
この記事では、発酵食のプロが教える失敗しないトマト麹のレシピをはじめ、保存期間や、いつもの料理がワンランクアップする美味しい使い方までを徹底解説します。
レシピ監修・解説:発酵食大学 講師、発酵食・腸活エキスパート ゆりやん

トマト麹の作り方
材料(作りやすい分量)
- 乾燥麹 200g
- 塩 100g
- トマト缶(水煮) 400g
- 水 100ml
※トマトの水煮缶の代わりに、塩分不使用のトマトジュースでも可能です。
トマト缶(400g)と米麹(200g)を塩(100g)をミキサーに入れます。
塩分濃度は下げると腐敗しやすいので注意。

トマト缶はトマトジュースで代用してもOK。

あふれそうなので。ここで一旦ミキサーにかけます。
ヨーグルトメーカーの場合は水100ml、常温で作る場合は50ml加えます。

全部いっぺんに入る大きさのミキサーの場合は材料すべて一気に撹拌しても大丈夫です。
水の量は、仕上がりのお好みの滑らかさで。
50ml〜100mlの間で変動してOK。
塩分濃度が下がって雑菌が繁殖しやすくなってしまうので、水はこれ以上入れないように注意してください。
麹の粒は多少残っていても、トマトが崩れて麹の粒が小さくなっていれば良いです。

これをヨーグルトメーカーで60度、6時間保温します。
常温で作る場合は、1日1回程度混ぜて2週間ほどおきます。
全体に塩の角がとれてまろやかな味なってくればできあがり。
完成したトマト麹がこちら。

右がヨーグルトメーカーで作ったもの。

左が常温で作ったもの。

ヨーグルトメーカーで加温したほうが、糖度が増えるためドロっとした仕上がりになります。
常温で作ったほうはサラッとした仕上がりです。
お好みで作ってくださいね。
さて、トマト麹ができあがったので、これを使って夏野菜の豚汁を作ります。

お好きな野菜をどんどん食べやすい大きさにカット。


鍋にオリーブオイル少々、ニンニクを入れ香りを出して炒めます。
豚肉から油が出るので、オイルの量は少なめに。

豚肉を投入し炒めます。
豚肉は細切れ、ひき肉、豚バラ薄切りなど何でもOK。
今回は豚バラ肉を使いました。
タマネギの薄切り、シメジを加え、しんなりしたら、ナスとズッキーニ、トマトを追加。

きのこを加えるとうま味が出るので汁物におすすめ。
菌トレ(腸活)食材として積極的に活用しています。
よく炒めることで煮込み時間が短縮でき、香ばしさが加わり美味しく仕上がりますよ。


水、トマト麹を入れて、さっと煮て、器に盛り、大葉の千切りを乗せて完成!

野菜たっぷりの汁物は簡単で栄養価が高くて、忙しい人にとっておすすめです。

使うのは家にある野菜、何でも良いです。
普通、豚汁はお味噌で味付けしますが、今回の調味料はトマト麹だけ!
顆粒だしもだし汁も一切入れません。
野菜とお肉、トマトのうま味だけでと〜っても美味しくなるんです。
トマト麹の塩分濃度によって濃さが異なるので、味をみながら塩加減はお好みで調整してくださいね。
NHKのひるまえほっとにも出演させていただき、作り方や活用法をご紹介しました。

汁物以外にも、お肉の下味や炊き込みご飯の味付けなど、いろいろアレンジしてみてくださいね。
詳しい作り方は動画でも解説しています
トマト麹の詳しい作り方と豚汁のレシピ
発酵食大学のレシピページでも詳しい作り方を紹介しています。
トマト塩麹(ペースト状)の作り方
トマト塩麹で夏野菜の豚汁
トマト麹についてよくある質問
保存期間(日持ち)はどれくらいですか?
冷蔵保存で3か月が目安です。 清潔な容器に入れて冷蔵庫で保存し、使う時は必ず清潔なスプーンを使ってください。塩分濃度が高いため比較的日持ちしますが、風味が落ちる前になるべく早めに使い切るのがおすすめです。長期保存したい場合は、冷凍することも可能です(カチカチに凍らないので、スプーンですくって使えます)。
トマトジュースでも作れますか?
はい、作れます。「食塩不使用(無塩)」のものをお選びください。
生のトマトでも作れますか?
はい、フレッシュなトマトでも美味しく作れます。生のトマトを使う場合は、湯剥きしてからミキサーにかけてペースト状にするか、細かく刻んで使ってください。塩の量は、全体の重量の10〜12%以上になるように計算すると、雑菌の繁殖を抑えて失敗なく作れます。
コンソメの代わりに使えますか?使い方は?
無添加のコンソメ代わりとして大活躍します!トマトの「グルタミン酸」と麹のうま味が合わさることで、コンソメキューブのような深いコクが出ます。
【おすすめの使い方】
スープ・ポトフ:水300mlに対して大さじ1〜2杯入れるだけ。
パスタ・オムライス:味付けのベースに使うと深みがアップ。
お肉の下味:鶏肉や豚肉に揉み込んで焼くと、驚くほどやわらかくジューシーになります。
包丁で刻むより、ミキサーにかけた方が良いですか?
調味料として万能に使いたいなら、ミキサーでなめらかにするのがおすすめです。事前にミキサーやブレンダーにかけて米麹の粒をなくしておくと、ケチャップやソースのように料理になじみやすくなります。特に、ドレッシングに混ぜたり、オムライスやパスタのソースとして使ったりする場合は、口当たりが良いペースト状の方が使い勝手が抜群です。逆に、冷奴に乗せるなど「食べる調味料」として粒々の食感を楽しみたい場合は、包丁で刻むだけでもOKです。
乾燥麹ではなく、生麹でも作れますか?
はい、生麹でも美味しく作れます。生麹は乾燥麹よりも水分を多く含んでいるため、できあがりは写真よりも水分が多く、とろっとしたゆるい仕上がりになります。 少しゆるくなっても味や日持ちには問題ありませんので、安心してお使いください。
トマト麹を使ったおすすめアレンジレシピ
- トマト麹とニンニクで!絶品チキングリル
- しっとりやわらか!トマト麹のハーブサラダチキン
- 火を使わず簡単!トマト麹のニンジンラペ
- ケチャップなしで絶品!トマト麹の炊き込みチキンライス
- 炊飯器で簡単!トマト麹のアスパラご飯
- 栄養たっぷり!トマト麹のニンジンご飯
発酵食・腸活エキスパートが教える|このレシピの健康ポイント

トマトには昆布と同じうま味成分「グルタミン酸」が豊富に含まれています。
これが麹の酵素によって分解されたアミノ酸と合わさることで、市販のコンソメやだしの素を使わなくても爆発的なうま味(コンソメのようなコク)が生まれます。
しっかりとした満足感があるため、少ない塩分でも味が決まり、無理なく減塩につなげることができます。
トマト麹があれば、あれこれ調味料を足さなくても、味付けはこれひとつでバシッと決まります。
また、トマト麹はスープなどの汁物などと特に相性抜群!
レシピで紹介した豚汁以外にも、具沢山のスープやミネストローネにするのもおすすめです。
いつもの料理が麹の力でワンランク上の味わいに。
ぜひ美味しくヘルシーな発酵ライフを楽しんでください。
このレシピの作成者(考案・監修)

発酵食大学レシピ開発チーム
(発酵食エキスパート在籍)
レシピ制作において大切にしていること
2013年から発酵食品のレシピ制作に関わっている発酵食大学の講師やスタッフが、「簡単で美味しくて、ヘルシー」をモットーに制作しています。
スーパーで気軽に手に入る食材を使い、忙しくても誰でも手軽に作ることができるレシピを心がけているので、日々のご飯づくりに参考にしていただけたら嬉しいです。
食物繊維と発酵食品を毎日コツコツ取り入れて「毎日菌トレ!」を目指しましょう。
発酵食大学のレシピ本
『発酵食大学の旨うまレシピ』がKADOKAWAから出版されています。毎日の料理が面倒な人、時間がない人こそ作ってほしい発酵の力を生かした、ヘルシーなレシピを紹介。










